アクセス方法

第4回全国VBLフォーラム開催に対し、厚いご支援を頂き、ありがとうございました。
参加者総数250名という多数の方々にお集まり頂き、盛況のうちに開催することができましたこと厚くお礼申し上げます。
実行委員会より報告いたします。

 

7月17日(火)

開会宣言 京都大学 松重和美

VBLの役目として
・ 産業の芽となる研究
・ ベンチャー精神に富む若手の育成
が課題として挙げられる中、第4回全国VBLフォーラムが開催されるのは喜ばしいことである。10年前は大学発ベンチャー1000社を目標としていたが、それが達成された今、その質が問われている。本フォーラムをVBL関係者の交流の機会とし、情報交換や議論を進めて欲しい。また、VBL施設長会議にて現在の問題点を洗い出し、今後の活動に役立てて欲しい。

 

基調講演 元松下電器産業 ㈱ 副社長 水野博之 氏

「新しいビジネス創造のために」
現在日本の景気が上向き傾向といわれるが、国民にはその実感があまり無い。若手が新たな情熱を持ってビジネスをスタートさせることで日本に活気をもたらすことが望まれている。そこで、新たなビジネスを創造するためのレシピについて「イノベーション」というキーワードに重点を置いた講義がなされた。
イノベーションという言葉は、日本において「技術革新」と捉えられやすいがこれは誤りで、実際には「社会を変える新しいやり方」が正しい解釈である。技術とは「無」からは作られない。全ての技術は既存の技術の新しい組み合わせから生まれ、それが新しい価値を生み、創造的破壊を起こすということを強調された。また現在のわが国における問題点として、日本には新しい組み合わせを考える柔軟な発想を持つ人材不足、新しいことを受け入れる環境が整っていないことが挙げられた。最後に、「今自分が取り組んでいることに何を結合するのか?」を考え、「それが決まればその結合を断固としてやり遂げる信念」がイノベーションへとつながるという言葉で講義を結ばれた。

 

基調講演 創業支援推進機構理事長 紺野大介 氏

「中国の大学発ベンチャーから学ぶもの」
中国と日本の大学発ベンチャーにおける制度や方法論の違いを、様々な側面の統計データを用いて比較し、わが国における今後の大学発ベンチャーのあり方についての講演がなされ、中国の産学連携が伸びる要因として以下のことが挙げられた。
・ 国が「科学技術で立国する」という明確なメッセージを配信・実践し、その思想が地方の末端まで浸透している。
・ 科学技術向上のための支援が制度化しアグレッシブである。
・ 米国と同じ研究制度を導入し、ほとんどの研究者に自分の研究を独立して発展させられるPI (Principal Investigator)の地位を与え、競争的資金を提供している。
・ 国や地方が外国でのPh.D取得者の意見に耳を傾け、研究への待遇向上だけでなく、収入面や住宅などあらゆる面で優遇している。
・ 研究者自身が研究開発と事業の違いを正視して、高いレベルの第三者評価機関に評価をゆだねる謙虚さ、モチベーション、異なる価値観を受け入れる力量がある。
特に最後の項目は、日本の大学発ベンチャーに最も不足している点であるとの厳しいお言葉を頂き、ETT(創業支援推進機構)等の第三者評価機関の積極的な活用の必要性を述べられた。

 

基調講演 ㈱ドリコム代表取締役 内藤 裕紀 氏

「大学発ベンチャーに必要な環境」
講演者自身が京都大学在籍中に起業した経験を元に、新たな起業家を育てるためにVBLに求められる課題について講演された。その中で大学発ベンチャーに必要なものとして以下の5つを挙げられた。
1。 きっかけ・経験
  事業プランを考える機会や、同じ志を持つ仲間との出会い、起業するための資金援助など、企業家を目指す者たちが行動に移せる機会や援助。
2。 本気の創業メンバー
  リスクを犯してでも事業を成功してみせるという強い信念を持つ仲間。
3。 集まる場所
  学生が昼夜を問わず気軽に集まり、お互いの事業プランの議論をできる場所。
4。 技術
  事業を展開するために必要な技術。
5。 最初の顧客
  実績を作るための最初の顧客。
これらの事項を産学一体となって提供していくことで、新たな起業家を育て、より成功へとつながっていくことになるのではないかとの御意見を頂いた。

 

文部科学省 研究振興局 研究環境・産業連携課長 佐野 太 氏

(特別スピーチ、7/17全基調講演終了直後に)
バブル崩壊後世界は大競争時代を迎えているが、残念ながら日本の大学発ベンチャーは順風満帆というわけではなく、自ら目標を掲げリスクテイクしていかなければならない時代になっている。また、そのようなリスクを負う人達を守るためのセイフティネットを政府が構築する必要があると、現状の問題点を挙げられた。具体的には、
・ 本気で事業展開を目指す経営者が集まることの必要性。
・ 技術優位。1つの技術のみで創業し、次の技術が育たない問題。
・ 資金調達。エンジェル税制の導入。
などである。これまでは大学発ベンチャーの起業数に重きが置かれる傾向にあったが、今後はその質を高めていくために、例えば第2、第3のシーズ開発ができるよう地域産業界が応援できる環境整備のための予算要求をしていく等、官の立場から積極的に行動していくとの力強いお言葉を頂いた。

 

交流会

 

 

 

 

 


7月18日(水)

特別講演 文部科学省 研究振興局 研究環境・産業連携課 小黒 桂 氏

「イノベーション創出に向けた“大学発ベンチャー”の新たな展開!!」
大学発ベンチャーの新たな展開について官の立場での方針を、
1。 従来の公共事業型から科学技術駆動型へ、「自立型」で「持続的」な地域社会の発展を目指した「地域発のイノベーション創出」の重要性。
2。 信頼関係、大学・高専の独創的先進的シーズ開発、役割分担・双方の立場の理解・尊重および目標の共有など、産学官連携を成功させるために大切なこと。
3。 大学発ベンチャーの量のみならず質を重視する政策への転換の必要。
4。 大学発ベンチャー活性化のための5つの視点
・ 経営人材、起業家精神を持つ人材、ポスドクの活用など、人材の確保および育成に力を注ぐ必要がある。
・ 成長に直結するビジネスプランの作成、資金調達、販路開拓、研究者と経営者の適切な役割分担など、競争優位を確保する経営の徹底。
・ 大学における世界レベルの独創的・先進的シーズ開発、リスクの高い研究開発、持続的発展に必要な第2、第3の技術シーズの大学からの供給および発展、など技術優位の確保。
・ 大学発ベンチャーの地域施策への位置づけ、地域の連携による大学発ベンチャー創出・育成強化など、地域発展への貢献。
・ 失敗・撤退に対する寛容な社会風土、仕組みおよび失敗経験を新たな発展へとつなぐ仕組み作り。
5。 知識基盤社会における大学改革の方向性
  21世紀の知識基盤社会において、大学が創造力の源となり、教育、研究に加え社会貢献という新たな指名を担うための大学改革の必要性。
の項目についてご講演頂いた。最後に「現状維持では後退するばかり。知識と情熱が結びつくのが大学発ベンチャーであり、明確なビジョンを持ってがんばって欲しい。」とのお言葉を頂いた。

 

大学発VBのビジネスモデル紹介

東北大学 (株)メムスコア 小切間 正彦 氏

2001年に(株)ケミトロニクス・Gと技術融合し、MEMS開発の受託・製品化支援、MEMS製造装置の開発・販売を事業とする大学発ベンチャー「(株)メムスコア」を設立。企業の製造技術と大学の研究成果を融合し、独創的で付加価値の高い製品の開発や顧客のニーズに応えるカスタマイズを売りとしている。現在の問題点として、大企業に比べリスクが大きすぎるために人材が不足していることが挙げられた。

 

 

北陸先端科学技術大学院大学 株式会社マイクロエミッション 山本 保 氏

2004年にJSTの大学発ベンチャー創出支援事業に採択され、2年後の2006年に「株式会社マイクロエミッション」を設立。新プラズマ発生法「液体電極プラズマ」を開発し、それを基に持ち運び可能で、使用方法が簡単な小型元素分析装置を商品化。土壌分析や廃液分析等多くの市場を抱えている。販売ルートは現在のところ直販だが、徐々に代理店との関係を密にし、販売量のアップを目指す予定。

 

 

九州大学 メカトラックス(株) 坂本 剛

九州大学ヒューマノイドプロジェクトにて開発されたロボット(ロボット格闘技大会 ROBO-ONE2連覇)開発技術を生かし、ロボットの受託開発・販売、大学・研究機関向け機器の受託開発を業務内容として2004年に「メカトラックス(株)」を設立。UFOキャッチャーのUFOの代わりにロボットを操作して景品を獲得する、独創的なゲーム機を開発。人型ロボットの利点である人を惹きつける魅力を武器に市場拡大を目指す。

 

 

大阪大学 株式会社創晶 安達 宏昭 氏

これまで結晶化が困難であったタンパク質の新しい結晶育成技術を開発し、その技術を基に結晶化受託などを事業内容として2005年に「株式会社創晶」を設立。タンパク質では65%、低分子では80%という従来からは考えられない高い結晶化率が注目を集めている。2007年にはファルマ・アクセス株式会社と業務提携を結び、同年6月には黒字化を達成している。今後は結晶化から構造解析まで一括受注、海外展開、創薬バリューチェーンをターゲットに展開を進めていく予定である。

 

 

奈良先端科学技術大学院大学 株式会社フィット 藤原 広光 氏

印刷業とWEBを融合させた自動組版システムを開発し、2001年に「株式会社フィット」を設立。また、外資系メーカーのワープロソフトが大半の中、「美しい日本語 日本語文書を美しく表現することに貢献する起業」を社是として、高級日本語組版エンジン「Symform」を開発している。このシステムにより、マニュアルやカタログの作成、個人出版などを低価格で実現している。
徳島大学 ナイトライド・セミコンダクター株式会社 村本 宣彦 氏
世界最先端の紫外線LED技術を基に2000年に「ナイトライド・セミコンダクター株式会社」を設立。紫外線ランプに比べ、構造が小さい、消費電力が少ない、発熱量が少ないなどの長所により売り上げを伸ばし、黒字化に成功している。紫外線LEDの市場はセンサー用光源、バックライト・イルミネーション、空気清浄器など幅広いため今後の市場拡大が期待される。

 

鳥取大学 日本トリップ有限責任事業組合 菅原 一孔 氏

バスや鉄道の経路情報を中心に観光情報を提供するシステムを構築し、2006年に「日本トリップ有限責任事業組合」を設立。最短経路問題を扱う独自のアルゴリズムを基に、鳥取県のバス運行会社の協力を得て経路探索システム「バスネット」を公開、運用している。地域の公共二次交通を支えるという趣旨で、利用者によるサポーター制を導入し、地域に根付いた事業活動を行っている。利用者は1ヶ月あたり平均16,000件と予想を超えるものであり、今後は対象地域を鳥取県全体へと拡大していく予定である。

 

 

九州工業大学 株式会社キットヒット 下妻 憲 氏

音声対話ビジネス等を業務内容として、2005年に「株式会社キットヒット」を設立。新北九州空港設置の案内ロボットメーテル、イベント用多機能ロボットリディック、癒し系ロボットなど、対話型ロボットの開発にて活動展開中であり、今年3月には黒字化を達成している。また、九州工業大学HITセンターとコンサル契約を結び、キットヒット社の他企業への紹介を依頼するなど、大学との連携が強いのも特徴である。

 

 

質疑応答

Q:(創晶へ)創薬が将来のビジネスプランに含まれていたが、顧客のビジネスに侵食するのは大丈夫か?
A:危惧している。別会社を立ち上げて事業展開したい。

Q:(キットヒットヘ)大学の知的財産を使用しているが、知財はどのように活用しているのか?
A:技術共有として受けてはいるが、知財として提供は受けていない。

Q:(メムスコアへ)LSIの新しいデバイスは短期、単品が多いのでビジネスとして難しいのでは?
A:色々な種類を扱い、付加価値を付けることでやっていける。ただし、多様な知識と設備が必要となるのでそれらを皆が共有できる場所が必要である。

 

 

VBL長による情報交換会昼食会

全国の45大学に設置されているVBL施設長会議が開催され、密な情報交換会が行われた。

 

 

 

 

 

各大学VBLポスター等展示

各大学のブースを設けパネル展示を行いました。

桂イノベーションパーク(KIP)見学会

 

 

シンポジウム「ベンチャーマインド教育」

東京大学産学連携本部 事業化推進部長 各務 茂夫 氏

「東京大学産学連携本部における起業教育」
-「東京大学アントレプレナー道場」について-
2005年度から学生企業支援の啓発(教育)プログラムとして「東京大学アントレプレナー道場」を開講。特徴として、
・ 自分のアイデアや研究成果を活用した起業に関心のある学生を対象
・ ビジネスプラン策定の訓練の場、自己啓発・訓練の場等、学生へのアドバイス提供等の支援
・ 初級、中級、上級の3段階選抜方式を採用し、上級コース進出チームはビジネスプランコンテストに参加、産学連携本部長からの修了認定書の授与が受けられる
等が挙げられる。今後は、文理融合型の教育プログラムとして単位取得化を目指す、産学連携本部が主体となってカリキュラムを作成し教育プログラムを提供する、我が国のイノベーション・新産業創出を担うベンチャーマインドを持った人材の発掘と育成に寄与するといった課題に取り組んでいく予定である。

 

山形大学VBL長 高橋 幸司 氏

「山形大学に必要とされる起業教育とは何か?」
地方の大学が地域のためにどのように貢献できるのか?を主眼において、主に工学部の学生を対象に教育プログラムを実施しており、また、他分野の学生や一般社会人にも対象を拡げつつある。山形大学VBLの講義では、H12-13は「ビジネスのエキスパートによる集中講義」、H14-16は「ビジネスプランの企画作成とプレゼンテーション」、H17は「地域課題解決プランの企画作成とプレゼンテーション」という具合に、常に新しい教育を行うため3年を目途に内容を一新するように心がけている。 また、自ら企画した内容が実現することの喜びを体感してもらうため、H17年の講義で提案された「米沢検定」は地域自治体と協力して実現を成功させている。

 

 

筑波大学VBL長 平井 有三 氏

「筑波大学VBLにおけるベンチャービジネス教育」
これまで理工系に偏っていたプロジェクトに固定されていたが、VBLを大学全体に認知してもらうためにH18年度から全学公募型へと変更し、ベンチャービジネスの萌芽となる研究活動を支援するVBL研究プロジェクト、および起業家精神を有する人材育成教育支援を目的とするVBL教育支援プログラムを実施している。また現在は、知的財産統括本部、VBLおよび産学リエゾン共同研究センターと3つに分かれている機関について、お互いがより密に協力できるような体制を作っていくためのプランが決定している。

 

 

広島大学産学連携センター副センター長 高田 忠彦 氏

「広島大学VBLにおけるベンチャーマインド教育」
広島大学では、学生のための教育活動として学部生向けのVB論、理工系院生向けの4つのMOT講義を実施し、また地域向けのMOT講座としてVBLイブニングセミナー、起業家養成講座およびMOT地域講座を行っている。さらに中四国地域の国立大学VBL院生研究員が集まり、毎年夏季休業中にVBL院生夏の学校を開催し、起業家による講義の聴講、各大学の交流などを通してベンチャーマインドを学ぶ機会を提供している。今後は、院生夏の学校の充実、地域への更なる貢献を目指していく予定である。

 

 

質疑応答

Q:ビジネススクールの学生と一緒になって議論させたりはしないのか?
A:(東大)東京大学にはビジネススクールが無いが文理融合が望ましいのは確かである。
A:(山形大)MOTの学生と理工系の学生でネゴシエーションコンペを行い、自分の会社に有利なネゴシエーションの訓練をしている。
A:(筑波大)ビジネススクールはあるが場所が離れているため今のところ交流は無い。今後は前向きに検討したい。
A:(広大)実施していない。機会があれば他大学との融合を考えてみたい。

Q:産業界はベンチャーだけでなく、企業で求める人材も企業家精神を持った人材を重視している。日本全体で人材不足は深刻な問題なので、カリキュラムに企業家論を組み込んでしっかり教育して欲しい。また、優秀な人材を無駄にしないためにドクターの学生を企業に入れるなどを、大学が産業界と話し合う仕掛けを作って欲しい。そういった課題の中でVBLの役割は何なのかを今一度考えて欲しい。
A:(東大)ポスドク研究員が大学でのプロジェクトの中でどのような役に立つのかを考える必要がある。ほとんど全てのプロジェクトにおいてマネージメントが存在しないのは大きな問題で、これはVBLが力になり教育できるのではないか?また、在学中だけでなくその人の一生を大学が保証すると言う意味で、企業に入った後の社会人教育も大学が請け負えるのではないか。
A:(山形大)大学院生は4ヶ月の長期インターンシップに行くことができる。また、夜間コースでは日中に地元企業で働いてもらい、頑張っていればそれを評価し単位として認定している。これにより、実際に仕事をしながら企業のことを学ぶことができる。
Comment:(質問者)地域に根ざした教育を展開されていて大変すばらしい。

 

パネル討論 「大学発ベンチャーとイノベーションの創出」

横浜国立大学大学院環境情報研究院 教授 近藤 正幸 氏

「大学発ベンチャーとイノベーションの創出」
大学発ベンチャーの企業件数は年々増加傾向にあるが、一方で世間の注目度は徐々に降下傾向にある。今後産学官連携からより密な関係(産学官クロスオーバー)になっていかなければならない。 一方、大学発ベンチャーは特定の技術力はあるが、経営能力が高くないため、既存の中小企業や大企業との連携を深める必要もある。以上のような問題点を認識した上で今後の大学発ベンチャーのあり方について議論していきたい。

 

株式会社ヒューマン・キャピタルマネジメント 代表取締役社長 土井 尚人 氏

「大学発ベンチャーとイノベーション」
インキュベーション活動から見えてくる大学発ベンチャーの問題点として、現状把握の甘さ、戦略なき戦術、到達点が見えていない、勝てる土俵で相撲を取っていない等が挙げられる。
・ あるべき姿を明確化し、課題を克服、継続させる仕組みやルールを構築する必要がある。
・ 技術やアイデア、市場・顧客のニーズ、インフラの三者が満足された領域が勝てる土俵であり、そのような領域を見つけることができるかどうかが成功の鍵。
・ 業界全体で勝負するのではなく、その業界のボルトネックになっている部分に集中し、
・ 問題を解決することで、業界全体の流れが良くなりビジネスの成功へと結びつく。
以上のことを認識し実践することで大学発ベンチャーはより成功へつながっていく。

 

株式会社トランスサイエンス 代表取締役 井上 潔 氏

「「大学発ベンチャー」の現状と育成側に今後求められる役割」
大学発ベンチャー総数は2000社に迫る勢いだが、その中で国際的に飛躍しうるポテンシャルを持つのはほんの一握りであり、その原因は研究者、大学および産学連携機関の認識が甘く、経営に要求されるスキルの高さを充分認識せずに設立したベンチャーが大半であるからに他ならない。大学発ベンチャーが成功している米国では、大学教官の利益相反、責務相反を適切にマネジメントしている。つまり、我が国ではマネジメント人材が根本的に不足していることが問題である。今後ベンチャービジネスの育成側に求められることは、
・ 適切なマネジメント人材を選定、かつ投資先に斡旋・紹介する機能
・ マネジメント人材候補の研究・育成機能
・ 研究開発型ベンチャーの事業再生機能
・ 地域既存産業活性化に資するベンチャーの発掘、育成機能
である。

 

広島大学 (有)生物振動研究所 代表取締役 桜井 直樹 氏

2001年に広島大学インキュベーション事業に採択されたことをきっかけに大学発ベンチャーを設立。困難な点は、試作機はできるが製品ができない、誰でも操作できる製品を作るようなプログラミングであり、物が売れないと利益(人件費)が出ず、人がいないと物が売れないといった悪循環に陥りつつある。今後の課題および要望する支援としては、製品化への資金調達、マーケティングにかかる費用と人的労力、大学内ベンチャー企業の相互協力である。

 

日本新事業支援機関協議会(JANBO)事務局長代理 梶川 義実 氏

ビジネス・インキュベータ(BI)を利用しインキュベーション・マネージャー(IM)の指導を仰いだ企業は雇用者数と年商で現在も右肩上がりの成長を続けているという実績がある。その理由はBIにおいて、インキュベータを含む地域全体の成長戦略の共有化を図り、入居から卒業までの成長管理と卒業後のフォローまで支援するためである。また、将来的には競争力のある所への投資、初期資本の増額、最初の顧客紹介や国際的事業展開の奨励等の成長支援を行っていく。大学発ベンチャーはもっとこれらのことを有効に利用しなければならない。

 

横浜国立大学 (有)プロジェクトラボ 代表取締役 荻野 慎太郎 氏

2003年にVBLビジネスプランコンテストに参加したことをきっかけに企業。進化論的手法を用いた画像処理システムによりビジネスを展開している。自分自身が経験した大学発ベンチャー支援の利点および問題点としては、
・ VBLポスドクとしての採用支援は次年度継続に伴う評価が困難であり、起業目的でない人材との区別ができていない。
・ 指導教官との連携支援は、技術面および社会的信用面が得られるが、教官と顧客のどちらを立てるべきかの判断が困難。
・ インキュベータでの活動支援は賃貸料が安価であるが、利便性や環境面で自由度に制限。
・ コーディネータなどの人的後方支援は企業経験者からのアドバイスがもらえるが、年齢の高い大企業経験者に新しい事業の支援ができるかは疑問。
などが挙げられる。

 

討論

(土井)支援する側も支援される側の協力が無ければ何もできない。「知らないこと」をあたかも知っているように振舞われるとアドバイスもできない。知らないことは知らないとはっきり言ってもらえるとトータルでよいアドバイスができるようになる。大学の教授が技術開発に集中できるような環境を作るのが良い。
(井上)地方のベンチャーは大企業経験があるアドバイザーを探すことが難しい。地域の産業局などのOBで話がわかり、しっかりと経営を任せられる人間を探した上で起業するのが本当ではないだろうか?団塊の世代の方たちがベンチャーにシフトしていくことを期待したい。
(梶川)インキュベータの研修を受けている人の平均年齢は43歳で、団塊の世代の人達も多い。広く浅く物のわかる人達を育てることが大切。
(土井)経営者はマネージャーと異なり決断力をつける必要がある。市場価値としての技術、それで何ができるのかを見えている人でないといけない。技術と決断力を身に付けることを目標に教育している。

Q:(近藤)厳しいご意見が多いが、大学発ベンチャーをやってよかったことはなんですか?
A:(桜井)小さな頃から工学系が好きだったので、装置を作っているときは本当に楽しかった。世の中の役に立つ物を作っているという実感が得られた。
A:(荻野)自分より年上で経験のある企業人と交渉する機会があるのは大学発ベンチャーならではで、良い経験をしている。

Q:(近藤)(土井さん、井上さん、梶川さんへ)大学発ベンチャーの良いところはどこでしょうか?
A:(土井)他の企業がつぎ込めない資金・人材を使って作りだした技術は大変すばらしい。他学部が協力しているベンチャーには地域に貢献できているものもあって見ていて楽しい。また、大学の先生は自分の専門分野では多くの知見を持っていることが強みである。
A:(井上)ベンチャーとはつぶれるもので、世の中に定着させるためにはインフラの整備が必要。米国にも同じような時期があったはずで、その内良い悪いを見極める目が大学にもついてくるはず。また、M&Aを戦略に組み込んでいくことが必要であろう。
A:(梶川)大学の図書館が使用できる、大学の先生に聞ける、実験がすぐできる。また、住所はとても重要で、大学の住所であれば信用される。それらを活用し、地位に甘んずることなく早く成果を市場に出して欲しい。だめなところは、利益を最優先するべきなのに事実上研究室の別室となっているところがあるので、そういう場合は直ちにやめて欲しい。

Q:(A氏(会場))大学発ベンチャーとは株式公開をにらんだものなのか?
A:(近藤)厳密な統計ではないが、日本だと6割くらいはYes。ドイツだと4割くらい。

Q:(A氏)米国では学生も教官もお金が一番のモチベーションとなっている。日本人はどうなのか?
A:(桜井)残念ながらお金には全く興味がない。自分の研究成果が世の中の役に立つならと思い起業した。
A:(荻野)お金がモチベーションの一つなのは確か。ただし、きっかけはむしろ研究成果を実用化したいという思いからビジネスプランコンテストに応募したのが始まり。

コメント:(近藤)自分の技術が使われることに喜びを感じるのが理工系。それでも大学発ベンチャーを立ち上げなければならない理由があると思うが、それだとロスも多くなる。個別に起業するのではなく、製品を世に送り出すのは別のところに任せたらいいのではないだろうか。
(井上)ケースにもよるが外に出すインフラを整えていくことが大切。

 

閉会宣言


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